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喘ぐなら、彼の腕の中で
第19章 心を繋げて


「潮風でベタベタだから、先にシャワー浴びたい」

「だめ」

「か、顔崩れてるから直して…」

「いいよそのままで。
つーか、直しても意味無いから」


玄関のドアを開けて、真っ直ぐ寝室に進む莉央。

車から降りた時からずっと手を握られていて、ドキドキが伝わってしまいそうだ。


「じゃ、じゃあ先に飲まない?
莉央、ずっと運転で疲れてるでしょ…」

「沙月、そろそろ黙って」


莉央の低い声で、ぴたりと口を閉じる。

私をベッドの端に座らせると、すぐ前で莉央がしゃがんだ。

マットレスの厚みくらいのベッド。
莉央の目線は私より少し低い。


「なんで焦らすんだよ」
「……っ」
「俺は飲みたいんじゃない、食いたいんだ」
「……何を?」
「トボけんな」


莉央の右手が、私の頭の後ろに回って

そのままぐっと顔を引き寄せられた。




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