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第5章 忘れさせて

……一瞬、時が止まった。
訳が分からなくて。


「会う場所も時間も、今まで通り限られてしまうけど。
なるべく沙月と一緒に居られるように、俺も調整するから」


……えっ？

ま、待って。

芹澤さん、違うの。
私が聞きたいのは、そうじゃなくて……


「私、今までは社内恋愛だから制限されてると思っていたの。
でも、そうじゃなくて亜美が…」

「彼女は気にしなくていいよ。
俺もしっかり分けるつもりだし、うまくやるから」


……分ける？
うまくやる？

それはつまり……


「……私は
芹澤さんの彼女にはなれないんですよね？」

「……」

「これからもプライベートで会うなら
２番目ってことですよね……？」


………私を真っ直ぐ見たまま
芹澤さんは静かに笑った。


「俺は沙月が好きだよ」

「……っ」

「沙月が望んでくれるなら、俺は傍にいたい」


……どうして

どうして突き放してくれないの……？


気の強い私の瞳から、その滴は出てこないけど
心も体も引き裂かれるように痛い。


……望むならって
そんなの望むに決まってるじゃない。


私があなたをどれだけ愛しているか
私を好きだと言ってくれるだけで、どんなに幸せか

仕事でもプライベートでも、ずっと一緒にいたあなたなら


分かるでしょ……？