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吼える月
第30章 予感
 


「では出航~」


 四人を乗せた船が、蒼陵の民から遠ざかって行く。



「元気で戻って来てね~、お嬢、猿、シバ、テオン、テオン~!!」


 ぴぇぇぇぇぇ!!


「また緋陵で会おうね、サクちゃん、ユウナちゃぁぁぁん!!」

「は!? なに勝手に、テオンに会いにいくつもりなんだよ!!」

「テオンちゃん? ユエはイタチちゃんに……ぷぷぷ。きゃははははは~!!」

「頭来た!! どっちがテオンに相応しいか、戦うよ!!」


 ぴぇぇぇぇぇ~、ぴぇっぴぇっ!!


「やめよ。鳥に止められてどうする。お嬢様、なんでまた一段とお笑いになるんですか!?」

「だって~、変なお顔なんだもん、イルヒちゃん」

「なんだってぇぇぇ!?」


 ぴぇぇぇぇ、ぴぇぇぇぇぇ!!

 

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