この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第32章 多難
 

「いや……僕わけもわからず走ってしまったけれど、突然ガクンとした記憶だけが……」


 落ち着きを取り戻したテオンが、調理用の小さな小刀の柄で穴を掘り、その上に近くの砂をかけた。そして見つけた小岩を、その穴との境界に落としてみる。


「お姉さんの言う通り。形が違ってくるね。僕が沈んだ時は、僕を中心に円を描いていた気がする。そういう形になるのは……」

 穴に砂をかけ直したテオンは、穴の中心に石を落す。


「真ん中じゃないと駄目だ」


 石の回りは、テオンが沈んだ時のように綺麗に円を描いて砂が流れ込んでくる。


「もともとそこに穴が掘られているという説をとると、中心まで走って行く間、なんでテオンは、徐々にでも沈まなかったのかということになるわね」

「テオンは飛んだり跳ねたりして歩いたわけじゃねぇ。だとしたら、もうそとつの可能性……」


 サクは、鋭い目で言う。


「砂漠には、蠍以外にまたなにかがいるということ」


 三人は、訝し気な表情でサクを見た。


「どう考えてもテオンが突然沈んだのは作為的だ。

元からでもねぇ、蠍のせいでもなさそうだ……だったら、可能性としてあげられるのは、他になにかがいて様子を見ていて、穴を生んで獲物をひっかけて、そこに向けて蠍を動かしているということ。蠍がだめだとしても、深くに沈ませようとしてる。下に何があるかはわからんが」


「お兄さん、僕……なにも見えないけど」

「あたしもなにも見えないわ」


「お前、テオンが沈んだ間、なにか見たのか?」


 砂漠を見渡す二人の横で、シバが訊く。


「いや、見てねぇ。だが、どう考えても頃合い測られてるだろ」

「だがそうなると……」
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ