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吼える月
第34章 連携
 

 ◇◇◇


 テオンは座って本を読みふけり、ユエは鼻歌を歌いながら、地に指で文字を書き始める。熊鷹は、動向を見つめる蠍の甲羅の上で眠り始めた。

 怪しげな石の建物を前に、皆好き勝手なことをして一体これからどうするつもりだと、シバがテオンに訊いた。


「うん……。ねぇ、シバ。4国に伝えられている4国共通の内容の本は、『神獣縁起』というものと『倭陵国史』、それと『星見文書』と呼ばれている三冊なんだ。

『神獣縁起』は、女神ジョウガと神獣とのやりとりを主にかかれたもので、神獣がどんなものか、神獣の特性や神獣の思いとかが描かれている。
『倭陵国史』はそのまま、女神ジョウガの助けで約500年栄えてきた倭陵の歴史のこと、そして『星見文書』というのは皇主お抱えの星見が、予言したものや透視したものが納められているとされている。この星見文書は一部、他ふたつの文書と重なる部分があるけれど」

 テオンは、読んでいた『神獣縁起』を広げて、シバに見せた。


「この頁は、女神ジョウガと神獣が問答みたいなことをしている部分なんだけれど、朱雀だけが謎解きのようなことをしろと言っている。これ見て」

 シバは、テオンが指で指し示すところを読んだ。


『我を称え崇め、その怒りで燃えていれば。即ちそれ、怒りを真のものと証明させる方法にて、民に口承される童歌の意味を解いた誓願を必要とす。我を使役する嘆願は、その者の怒りを推し量る我の鏡に強き復讐心が映らねばならぬ。我に命を捧げれば、我必ずやその願いを聞き遂げよう』


「嘆願……?」

「うん、各国の神獣に認められた武神将が、絶対的強制的に神獣に願いを叶えて貰う方法だと僕は聞いている。4国それぞれ方法がある。武神将達は緊急性がある時以外は使わないようにと言われてる」


 シバはジウを思い出す。

 蒼陵国は、強さを示せば青龍が願いを叶える。

 ジウより強い者がいれば、例外的に青龍が動く可能性もあるらしい。
 
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