この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第34章 連携
 


「だから多分、ラックーが歌った童歌の歌詞を漢字で表現すると……。

『朱雀の羽は裏表。我が国は鏡となり、鏡は我が国となる。我が力は水に覆われ、水は地となす。即ち我が力地には及ばず、我が力も地となすが、もとより地は気となす。我の業火によりて木々の葉は夜に隠れ、眠りもまた闇に消ゆ。田は死、野は無となり、汝らのすは我が手に落ちる。我が尾は目となり、我の頭は尾に向くが、終焉は開始となる』

"汝らのす"は"巣"ってところかしら。業火で焼き尽くされるものを考えてみたら、こんなところだと思う」

「逆さ読みして、重なるの部分は"かがみ"か。ラックー、かがみになにか覚えは?」

『鏡と言ったら、朱雀の鏡しか思い浮かばぬが……』

「なんだそれは」

『我は怒りの神獣である。我の鏡には、"憤怒"が映る。我はそれが映った者の嘆願を聞き入れようと、したように思う。いや、しておった』

「それはどこにあるんだ?」

『それは、朱雀殿の祭壇の間に。……もしも嘆願の儀がヨンガだとしたら、はてはて不思議なことよ』

「なんだ?」

『我の嘆願の儀は、嘆願者の命を代償とする。つまり、嘆願した時点でヨンガは死ぬのだ。棺にこんな文字を打てるはずがない』

「だとしたら別ものなのか? 別人が嘆願の儀を行い、緋陵を砂漠化まで望んだとか……」

『嘆願の儀は祠官の協力と、その国の神獣の力がなければならぬ。それでいけば、ヨンガがイーツェー家を滅ぼした後、ヨンガは鏡のある朱雀殿に戻り、誰の制止も受けずに鏡の前で、祠官と嘆願を行ったとしか思えぬ。

そして祠官は、嘆願の後犯罪者ヨンガのために石棺に嘆願の文句を刻み、さらに祠官にも我にもはない朱雀の力でここに符陣を施し、その効力はいまだ生き続けていることになる』


「……もしもヨンガの後任の武神将が、符陣やこの棺の文字を刻んだとしたら?」


『不可能ではあらぬが、重罪人のために嘆願を生かし続ける理由が我にはわからぬ。もしや嘆願のものとは別のものが刻まれているかもしれぬに、やはりこの文字を解いてみぬことには、すべては推論にしかすぎぬ』


 サクは目を細めた。



/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ