この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第36章 幻惑
  

「残念だったね、お姉さん。僕は幻を操れる。誰よりも幻に詳しいんだ。幻は、見ている人達が真実だと思うことで、真実そっくりになる」

「テオン、あたし達は幻なんかじゃ……」

「真実じゃないとわかれば、幻の役目はおしまいさ。幻は真実にはなれない」

 それでも今の今まで本物と信じていたけれど……とは口にせず、テオンは叫んだ。


「神獣青龍の名において、僕達を惑わす幻影よ、消えよ!!」


 ……迷いない心で、武器を持たない彼自身が鋭利な剣となり、サクとユウナに切り込む。

「テオン……なぜ」
「どうして、あたし達を……」

 テオンの確固たる信念に、ふたりの姿をした幻影が揺らぐ。

「シバ、今だ!!」

 ふたりの視線がテオンに向いたその一瞬、シバは青龍刀を横に薙ぐ。

 一閃――。

 サクとユウナだったふたつの影は消えた。
 跡形もなく。

「きゃはははは! テオンちゃん、正解おめでとう!」

 ユエが熊鷹と喜び踊る。

「よかったよ~、合ってた~」

 テオンはへなへなとその場に座り込んでしまう。

「ユエはわかっていたの? ふたりが幻影だって」

「うん。だってイタチちゃんがいなかったから。テオンちゃんに言われて、ラクダちゃんがいないことに気づいたけど。きゃはははは」

 あれだけの巨躯で存在感を示していたラクダではあるが、ユエにとっては小さな細い白イタチの方が存在感があるらしい。
  
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ