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吼える月
第38章 艶宴


 女ならよくて、男であればいけない。
 徹底した女尊男卑こそが、この緋陵の国なのだろう。

 それはこの老婆の態度からもよくわかる。
 理屈抜きに、男というものは忌まわしい存在なのだ。

 そんなことを考えていたテオンだったが、老婆は会話が途切れたことに気分を害していた。

「……テオンちゃん。もしかして答えがないのは、妹が嫌い……とか?」
 
 老婆の言葉の温度が、見る見る間に下がっていく。
 なぜか老婆が刃物を手にしようとしたため、テオンは慌てて言った。

「好きでちゅ! ユエちゃん、だーいちゅき!」
「でちゅよね~。この緋陵で一番尊いのは家族でちゅから、妹が嫌いという悪い子にはちゃんと教えなければいけないところでちた」

 ……教えるのなら口頭にして欲しい。
 なぜ怒りを見せて刃物を持たねばならないのかと、テオンは青ざめる。

 緋陵は、家族を大事にする国らしい。

 テオンは、ヨンガがサクを貫いたことを思い出す。
 ヨンガにとってサクは甥。家族である。

 だからなのだろうか。
 ヨンガがサクを生かしたのは。

 サクがヨンガに貫かれたのを見た瞬間――テオンは、確実にサクは死んだと思った。

 そう、目の前で繰り広げられた凄惨な絵図は、絶対的にサクの死を意味するものであったからだ。

 しかし、テオンには神獣の力があった。
 玄武が眠る羽目になった神獣の盟約のために、表だって青龍の力を行使できないが、テオンの中で目覚めた神獣の力は無意識にテオンの感知能力をあげていた。

 サクの命を、なにかの力が繋ぎ止めている――。

 それは曖昧な夢の記憶を辿るようなあやふやな感知であった。
 サクを護っているのが玄武なのか青龍なのか朱雀なのか、別のものなのかはわからないが、共鳴のように神獣の力が震えたのだ。

 シバは我を忘れて怒り狂った後にヨンガに制圧されてしまっていたから気づいてなかったようだが、テオンに感じ取れたことを、朱雀の武神将であるヨンガが知らないはずはないだろう。

――瀕死の者も、朱雀の秘術によって一命をとりとめよう。

 ヨンガはユウナに確かにそう言った。
 つまりヨンガは、朱雀の秘術とやらを使わずとも、自らの力で瀕死状態で止めたことを口にしていたのだ。

 だとすれば、ヨンガはわざとサクを生かしたのではないか、という推測が成り立つ。

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