この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第10章 脆弱
 


「サク!?」


 ユマと街長の声が同時に飛ぶ。



「俺が護りたいのは、姫様だけなんだ。

たとえ、弱ったお前を突き放すことになっても、お前を悲しませて恨まれようとも……」


 サクは、とん……とユマの体を離した。



「俺がその肌に触れ、抱きたいと思う女は……、姫様ただひとり」



「サク、ねぇ、サク!! 私――っ、姫様の身代わりでもいいのっ!!」


「俺が……そう割り切れねぇんだ。お前は……ユマなんだ。俺の可愛い妹は、この世でひとり。それは姫様ではねぇ」


「サク――っ!!」


「ユマ。俺が姫様を護りたい理由は、凌辱されたことの同情ではねぇんだ。姫様が姫様だからこそ、だから俺は自ら進んで姫様の傍にいる。強制じゃねぇ、俺の懇願だ。

お前が姫様と同じく"凌辱された哀れな"立場になろうと、お前が姫様の地位に取って変わることはない。……それは、生涯変わらず」



「サクっ!!!」



「……ユマ。残念だが、出て行ったはずの姫様もタイラもそこにいる」



 ユマがびくりと肩を震わせた。


「タイラに……街の紋章を持ち出させて、駆け落ちを唆して街の外に出させたんだろう? 最初から辻褄合わせの捨て駒にする気で。

そしてタイラを待たせて、お前が密やかに輪姦されている間に、タイラに姫様を俺から離すようななにかを命じてでもいたか。可能性的には、街のもっと東奥にあると言われる、人身売買を生業にしている輩達への仕事の斡旋だ。

だがタイラは、お前と別れた後……そこではなく、たまたま見かけたのだろう貴族への密告に切り替えた。俺と紋章を売った金を、お前とのこれからの生活費の足しにしようとふっかけたんだろう。

そして今、そのツケとして……ああして"壊され"て、ここに強制送還される羽目になった」


「な、なにを……っ!! こ、壊され……!?」


 動揺したように裏返るユマの声。


「それにな、ユマ。タイラに抱かれていた姫様が、お前のフリしていたというのに、なんでタイラに語るんだ?」


――貴方の"監視"が嫌だからと。


「お前は……、俺に"監視"されている感があるのか?」

「そ、それは……」


「ユマ、どういうことだ?」

「と、父さん……これはっ」
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ