この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第14章 切望


――父上~。


 泣きながらでも必ずこちらの期待以上のものを返してきたサク。

 理論より実践にて成長してきたサク。



 見たい。

 サクの成長を、サラともっと見たい。

 サクが活躍する舞台を見守りたい――。


 そのためには、この金の男に打ち負かさねばならない。

 絶対、生きて勝ってやる――。


 ハンは闘志に燃えていた。

 
 突然のサクの助力により、ハンの顔には先ほどまでの……追いつめられた者特有の焦慮感や諦観はなかった。

 そこにあるのは、闘いを性としたような男の、活き活きとした姿だった。

 それを見てサラもまた、刃を振るいながらも微笑む。


――うっせぇよ、親父。


 ハンにいじられふて腐れるサクの姿が、サラに走馬灯のように駆け巡る。

 ハンはサクの成長のためにと、あえて手を差し出すことはしなかった。遠くからサクが泣いて苦しむ姿を、時に厳しく……だがその影ではやるせない表情で見つめていた優しい父親だった。


 本当はすぐに手を差し伸べたいのだろう。
 
 いつもそんなハンの姿に、心を痛ませていたサラ。

 
 一年前、ユウナとリュカの婚姻が決まった時から、ハンの元気もなかった。サクの手前、普通に振る舞っていたけれど、サラには……ハンもかなり心痛を抱えていることがわかっていた。


 そのハンが笑っていた。

 近年最高の輝きをもって、闘いに身を投じていた。



 戦うことが好きなわけではない。

 争うことが好きなわけではない。


 自分にとって、戦うことに正当な意義を見いだした時、ひとは誰よりも輝くのだ。
/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ