この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第5章 回想 ~終焉そして~
 
 明日からは、リュカが夫となる。

 不吉な予言がなされている今夜は、独身最後の夜――。


 どうして突然そんなことを言い出したのか。


 それをサクに相談したくても、サクはその時その場にいなかった。

 厳密に言えば、1年前にリュカとの婚姻が取り決められた後から、リュカがユウナを部屋を訪れる時には、サクがすっと部屋から出るのだ。


 そしてその日、サクはユウナの部屋に戻ってこなかった。


 明日婚儀だからと、気を利かしているつもりなの――?


 あの武骨なサクの機転だというのなら、これほどおかしいことはなく……これほど寂しいことはなく。


 三人、いつまでも一緒にいられると思っていた。

 誰が遠慮するということなく……。


 1年前のあの後から、サクはなにか変わってしまった。


 以前のように元気な笑いがなく、表情や行動に覇気がない。

 寂しげに見えるその翳りが、奇しくも野性味溢れたサクの……男としての妙味を強めていた。


 落ち着いた大人の男としての様相になっていた。

 ユウナが見知らぬ男のように――。


 気軽に話しかけられない。

 なにか距離を感じて、会話が途切れてしまう。


 そんなユウナの狼狽を感じれば、サクは見透かしたようにそっと部屋を出る。


――少し、体動かしてきますわ。


 昔は、喧嘩しようがなにをしようが、退室などしなかったのに。


 ひとりで大人になっていくのか。

 自分を残して行こうとするのか。


 そんな折ユウナの耳に、サクの噂が届いた。


 サクには、"特別"に親しくしている女がいる。

 それはサクの住まう街にいる、ハンも気に入っている少女なのだと。


 もう結婚までの話は整っているけれど、まずはユウナの結婚が先だとサクが先延ばしにしているらしい……とのことを。



 ……初耳だった。


/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ