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吼える月
第15章 手紙
 

 1年前と確実に違うのは、今度こそ……ユウナを諦めたくないという前向きな姿勢。

 今、してしまった愛の告白に混乱と狼狽はあるにしろ、時間が経つにつれて、今まで現状維持か消滅しかないと思っていた想いの丈を、積極的に建設的なものに変えたいという気が強まっているのだ。


 ユウナが、女の幸せを棄てても自分達に幸せを与えようと強くなろうとするのなら、自分は……この身体を張って、ユウナに女の幸せを与えてやりたい――。

 他の誰でもなく、自分が。


 ユウナがリュカより自分に特別性と心を望んでくれたのなら、そこからどうしても始めたいのだ。もう一度、辛すぎてたまらなかったあの1年前をやり直したい――。



「俺が欲しいのは、お前だけだ。

絶対、今度こそ……俺はお前を手に入れる」



 サクは、ユウナの黒い髪を手で掬うと、誓いのように口づけを落とした。

 
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