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吼える月
第17章 船上2
 

「サクも……苦しいのね?」


 笑っているのに、ユウナは余裕ととらなかった。


「俺のことは考えずに」
 
「駄目。ねぇ……サクを気持ちよく、させる……には、どうすればいいの?」


「は……はは……」


 抱きたい。

 ユウナと繋がりたい。


 望むのはただそれだけ。


 サクの身体はユウナを求めている。

 ユウナの身体もサクを求めている。


 気づけば触れあいそうになる唇。

 惹き付けられ、しかし理性で振り払い遠ざけ――。


 いっそのこと、すべてを忘れて我武者羅に抱けたら。

 そう思うのに、ユウナだけを愛し続けてきた心が叫ぶのだ。


 愛が欲しいと。

 

 だから――。


「それは無理です」



 媚薬を理由に抱きたくない。


 つまり。

 この状況では、なにをどうしても抱けないのだ。
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