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吼える月
第17章 船上2
 

 たとえ望む形ではないにしても、愛されているじゃないか。

 真剣に考えて貰えているじゃないか。

 ……今は、それだけでいいじゃないか。


 愛おしい女性に、ここまで無理をさせて。

 そこまでして守り抜きたいものはなに?


 ひとり勝手に不幸に酔うな。

 自分だけが辛いなんて思うな。


「それに……恥ずかしいし……。あたし……その、そういうこと……慣れてないから……。いつも……正気ではなかったし……」


 サクは、大きく息を吸って……吐いた。

 そして――。
 


「……だったら――」


 サクはユウナを持ち上げ、座った自分の上に跨がらせるようにして座らせた。


「慣らせますよ、俺は。いつか正気で……求めて貰えるように」


「サ、サク……っ!?」


 自らの勃ちあがったものを感じ取ったのだろう。

 ユウナの身体が硬くなる。


「大丈夫です、姫様。相手は俺です。俺ですから……力を抜いて」

「………っ」


「姫様を苦しめません。姫様が……俺も気持ちよくならないのなら、"治療"をも拒否するというのなら…」

 サクは、哀しげに微笑しながら……ユウナの手を取り、服の上からでも激しく自己主張する……猛る己れ自身を上から握らせた。


「ひゃっ!?」

 服の上からでもびくびく動くそれに驚き、手を離しそうになったユウナにくすりと笑いながら、サクはユウナの手ごと自分自身を握る。


「怖がらないで、姫様。正気が残る姫様の合意なく、これから先も俺の欲を吐き出そうとはしません。それだけは誓って」


 そして、服越し……上下に扱いた。
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