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第17章 船上2

　

　サクの肌が心地よい、とユウナは思った。

　触れられればドキドキするのに、サクの身体に包まれると安心する。

　身体は熱く疼いて仕方が無いのに、サクの与える快感は気持ちよくて仕方が無いのに、なぜか今……欲しいのはサクの温もりだった。

　サクがなによりも近くにいるという実感だった。


　裸で抱き合うなど、ただの幼なじみ同士はしないだろう。

　こんなこと、リュカとしたいとも思わなかった。


　自分にとってサクは、やはり特別なのだ。

　恋や愛はまだわからないけれど、それでもこの肌になら包まれていたいと思う。この男を離したくないと思う。


　サクは……どんな顔をして、自分と抱き合っているのだろう。


　ふと気になり、僅かに身じろぎをすれば、サクはユウナが苦しがっていると思い、両手をユウナの背中から離した。

　蜜という粘液に塗れながら、強く密着していた身体に、距離が出来た――。


　それを無性に寂しく肌寒く思えてしまうユウナは、そこで自分に注がれているサクの熱い視線に惹き込まれた。


　それは――。

　切ないまでの真摯な愛情。


　好きだと、愛していると。


　そのひたむきな熱情を伝えられている気がして、ユウナの瞳が揺れる。


　すきま風が流れる肌がもどかしくて。

　絡んでいるのが視線だけだというのが焦れったくて。


　ふたりの距離は、拳ひとつ分。



　ふたりは――

　蜜よりもとろりとした、欲情した顔で見つめ合っていた。



「どう……しました？」


　熱に浮かされたようなサクの声。

　ユウナの半開きの唇に魅せられて。


「サク……」


　そしてユウナもまた、自分の胸を愛撫していた……蜜で光るサクの唇に魅せられて。



　ふたりから……また、周囲の音が消える――。


　聞こえるのは、早さを取り戻した自分の鼓動音と……相手の急いたような乱した息遣い。


　その呼吸が欲しくなる。

　その呼吸とひとつになりたくなる。


　重なりたい――。



　互いの視線は唇から離れず、そしてふたりは同時に伏し目がちとなり、その距離を縮めていった。