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吼える月
第17章 船上2
 

「……ぷ」


 堪えきれないというように、笑いを噛み殺しているサクの姿。


「な、なに……?」

「ぷぷ……」

「だからなに!?」


 ユウナの目が涙目になってくる。


「いや、その……"お願いします"って……」

「だ、だだって……あたしわからないもの。サクに任すしかないもの」


 真っ赤な顔で詰るように唇を尖らせたユウナ。


「だからって、お願いしますと言われるとは。……くく」

「だったら!! じゃあなんて言えばいいの!?」

「い、いや……別に姫様を嘲笑っているとか、それが不正解だとかいうんじゃねぇんです。ただ……やっぱり姫様は可愛いというか、こんな時も姫様は姫様だというか。はは、あはははは。さすがは姫様だ。そうきたか!! おかげですげぇ、緊張解れました」

「緊張?」

「そりゃあ俺、姫様に拒絶反応出されるかどうかのぎりぎりの賭けでしたから。……当初にはまったく予定なかった。あはははっ、姫様といるといっつもそうだ。絶対、予定通りにはいかねぇ。あははははは」


 サクは豪快に笑い出しながら、ユウナの背中に回した手に力を入れて、ぐいと自分に近づけさせた。

 ……離さないというように、横臥したまま…ユウナを頭ごと抱擁したような格好で。


「だったら……、姫様のお望みのまま、お願いされましょうか」


 妖艶さを強めた漆黒の瞳が、ユウナを魅了する。


 そして、甘やかな声が誘導を始めた。

 ……秘めやかな戯れを、より興じるために。


「姫様、そのまま…足を揃えて閉じたまま、少し曲げて…。そう……、少し動きます…。んっ……」


 腰を奥に押し込んだサクから、ため息のような吐息が零れ落ちた。


「ああ、もうこれだけで、もっていかれそうだ」


 熱く柔らかな花弁が、蠕動しながらサクに歓びの蜜をまぶす。

 目が眩むような擬似蜜壺の至高の感触に耐えながら、ユウナの両足に自らの足を絡ませ、より強固に触れ合うための態勢を整えていく。


 サクの肉棒は、今訪れている悦びとこの先に待ち受ける快楽の期待に、はち切れんばかりに怒張していた。

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