この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第17章 船上2
 
 

「サク……ありがとう」


 好きになってくれて。

 こんなに優しくしてくれて。


 言葉にならないユウナの想いも、その唇から零れる。


 "ありがとう"と"大好き"。


 ……ユウナは、前者だけを言葉にした。

 後者を容易く口に出来ぬもどかしさが胸に渦巻く。


 だけどサクが本当に好きだから――。

 だから誤解だけはして貰いたくない。


 好きだから、簡単に言えない"好き"がある。


 伝えたいのに伝えられない言葉。

 大事だからこそ、今ここで言うべきではない言葉。


 快楽に溺れそうな状態で言えるような、安易なものではないと思えばこそ、だから今、自分が言えることだけは伝えたい――。



「サク……だから、ね?」



 引いては寄る波のような、表面を滑る抽送の刺激にとろりとしながら、ユウナは同じように、サクの頬に唇を落とした。


「サクだから……こんなことしてるの。サクだから……こんなこと出来るの。一緒に……気持ちよくなりたいの。今はそれだけで……ごめんね。あたしも同じだって、言えなくてごめんね……」


 罪悪感にも似た色を顔に浮かべ、どこまでも率直に、誠実にサクの想いを受け止めようとしているユウナ。


「ごめんね、サクがあたしを待つって言ってくれたのに、それより先に、身体の気持ちよさに流されてしまって、ごめん。ごめんなさい……。だけど、サクと一緒だから……こんな淫らなことも出来るの。はしたないことでも出来るの……っ。だから、だから……」


 ほろりと流れる涙。


 サクの顔がたまらないというように歪む。


「なんで……姫様が謝るんですか」

「……だって、だってサクがあまりに優しくて。尽くしてくれるのが、あまりに忍びなくて……。サクが望むもの、本当は一番にあげたいのに――っ」


 悲鳴のように迸る、ユウナの"大好き"――。


/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ