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吼える月
第17章 船上2
 

――姫様~。


 いつもいつも一緒だったサク。

 これからも一緒に居たいサク。


 男女の垣根を越えた"大好き"を、唯一無二の"大好き"に変えたいと、ユウナは強く思った。

 愛おしいサクを、心から笑顔にしてあげたいと。


 ……それが、自分の愛を乞うているのなら尚更に。

 こんな自分のものでいいのなら、サクが望むものを育てあげたいと。


 だからそれまでは。

 まだ、今抱えるこの気持ちが、サクの望む"大好き"かどうかわからない今は。 


「……今は、これで……気持ちよくなろうね。サクも、ちゃんと気持ちよくなってね……? あたしは、サクの幸せを本当に願っているんだから……」


 今できることで、サクの幸せな顔を見たいから。

 一緒に、同じ幸せな気分になりたいから。


「だから……気持ちよく、なろう?」



 今在る精一杯の"大好き"を乗せて、ユウナはサクに微笑んだ。


 伝われ。

 サクに伝われ。


 サクが好きなこの気持ちを。

 サクが望む形ではないかもしれないけれど、それでも自分が持てるありったけの"大好き"を。


 言葉にできないほどの、大切な想いを。



「姫様……」


 サクの目が苦しげに細められた。


「なに可愛いこと……するんですか。そんなに俺を……暴走させたいですか。――っ、ああ……くそっ!!」



 吼えたサクの動きが強くなった。


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