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吼える月
第21章 信愛
 


「どうですか? 俺の指」

「ああ……、あああん、サク、気持ちいい……っ、サクがしてくれるの、気持ちいいの……っ」

「っ……」


「ねぇもっと。もっとサクに気持ちよくされたい。ねぇ、サク……っ、ぎゅっとして……。ひとつに…溶けちゃいたいよ……っ」

「………」

「サク、もっとあたしにサクを欲しい。欲しいの、抱きしめられたい。気持ちよくして貰いたい。サクに、ねぇ、サクに……っ」


 舌っ足らずの訴えに、サクが爆ぜた。


「煽る……なよ、俺を。そんな可愛いこと言われたら……たまらなくなるじゃねぇかよ。我慢出来なくなるじゃねぇかよっ」


 サクの指が、蜜で溢れた花園を掻き乱すようにばしゃばしゃと激しく動く。そんなサクにユウナは身体を擦りつけて喘ぐ。

 
「ぁぁんっ、ぁぁぁ……、あっあっああああっ」


「俺はお前の心が欲しいんだよ。欲しいから我慢してるんだよ。わかれよ、なぁ……好きなんだよ、お前が。好きで好きで好きで堪らねぇんだよ。これ以上を望むなら、なぁ、俺に心をくれよ。そうしたら、俺……っ、俺……っ」


「駄目、駄目駄目、イっちゃう、イク、イク、サク、サク、サク――っ」


 衝動的にユウナを果てに押しやってしまったサクは、はぁはぁと荒い息をついた。ユウナはびくびくと身体を痙攣させた後、サクに抱きついてくる。


「サクぅ……」


 甘えっ子のような仕草は、まるで情事後の睦み合いのようで。

 錯覚してしまう――。


 心が通じ合えたのだと。


 だがそれは思い上がりだと思えばこそ。

 サクは献身に回るのだ。


 ただひたすら、愛情を注ぐ側に。

 いつか、報われるようにと願いを込めて――。

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