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吼える月
第25章 出現
 

 ジウが進む道は曲がりくねっており、緩やかに傾斜気味になって完全に整備されているものではなかった。ところどころ剥き出しの土や砂利や草、さらには高台に思える部分から、川のような水流が、高きから低き土地へ左右に分かれるようにして街を縦断している。

 川に沿って道が作られ、低地の家屋は左右大体均等に丸く取り囲むような造りになっており、高地に向かうにつれて左右扇のような開きを見せる横道沿いに家が並ぶ。

 海底都市なのに自然風土のある土台に、多くの家屋が建ち並ぶ風景は、地上の街並と変わらない。

 だがこの形状での家の構え方に、作為的なものを感じたサクは、かつてイタチが青龍殿と海吾の根城の2点あたりになにかを感じていたことを思い出す。

 方角的に恐らく、この海底の街こそイタチが感じていたものに違いない。そして記憶にある地図と照らし合わせて見れば、蒼陵の地殻変動時、地図上山脈として存在していた青龍も海底に潜ってこの街の一部となっている可能性が大きい。

 青龍はどこにいる?


 サクの目にはそれらしき大きなものは見つからない。

 幾ら地上のような街だとはいえ、聳(そび)える山脈はなく。神獣は形を変えられるものらしいが、イタチ曰く狭い場所が嫌いらしい青龍が堂々と伸び伸びと身体を休めさせられる場所は見当たらない。

 地面かとも思うが、果たして誇り高いらしい神獣が、人々に踏み潰されるのをよしとするだろうか。

 襟巻きになったらしいイタチをつれていれば、なにかわかったかもしれなかったが、ユウナから離すわけにはいかなかった。貴重な連絡手段だと思えばこそ。……だが、役に立っているとはまるで言いがたい。


 傾斜在る土地。左右に広がる街。流れる川。


 川……。


 そしてサクはイタチとのある会話と、イタチが気にしていた倭陵の地図を思い出しながら、以前ハンとした会話を脳裏に蘇らせていた。


――なあ親父。玄武殿はなんであの場所に建立されたんだ? 特別防御に適した場所でもねぇだろ。


 あの時、ハンはなんと答えていた?
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