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甘く、深く、繋がって
第2章 遭遇
じっと見つめられて心拍数が上がってく。
「だ、大丈夫です」
返す声が擦れた。
「そう?じゃあドアの前まで送ってあげるね」
「え、いや、だい」
「うん、そこは大丈夫じゃないよね?」

……確かに大丈夫、とは言い切れない。
熱を持って疼いてる。

だからといって見ず知らずの人に家の前までって……
そっちの方が問題あり

黙り込んだ私の考えを読んだかのように
「俺、斎藤拓真。さっきの通り沿いのレストラン『グラン・ブルー』で料理人してる」
彼が突然自己紹介をした。

『グラン・ブルー』?
そのお店はよく知ってる。オープンキッチンで調理してるところを見せてくれる洋食屋さん。会社の近く。
結構美味しい。ランチとか会社の飲み会で何度も利用してて、ウェイターさんとは少し顔馴染み。

キッチンにこんな格好良い人居たんだ……

「キミは?」
ニコリと笑顔で聞かれても
「……」
答えるのは躊躇する。
黙っていると
「あぁ、良いや」
斎藤さんは質問を自分で取り消した。真っ直ぐ私を見つめ
「俺の事、信用出来たら今度店に来て。その時は、教えてね?」
そう言ってまたニコリと微笑んだ。
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