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甘く、深く、繋がって
第14章 疑心暗鬼
鞄の中で携帯が震える。
田中さんはまだメニューに目を通しているのを見て、携帯を膝の上に取り出した。
メール着信は斎藤さん。
『いらっしゃい
逢いに来てくれたの?』
その問いに顔が熱くなる。ドキドキする。
『グラン・ブルー』を選んだのは田中さん。でも嬉しくなったのは事実。
『はい』
とだけ返信して頭を上げる。
田中さんの向うに見えるキッチンの奥、こちらを向いている斎藤さんと目が合った。ドクンと心臓が高鳴る。直ぐに視線は下ろされて、俯いてるからはっきりしない。でもその顔が笑った様な気がした。
顎を引いたまま、上目遣いに視線を投げ掛けられて

あ……

頬がかぁっと熱くなる。早まる心臓。
ふっと斎藤さんの目元が緩んで、またも逸らされた視線。
ドキドキする胸にこっそりと深呼吸。不意に手の中で震えた携帯にビクッと肩が上がる。
「どうしたの?顔、赤いよ?」
田中さんが心配そうに私を見て、後ろを振り返った。
「あ、いえ、大丈夫です。田中さん何食べるか決りました?」
メニューを見る振りをして、携帯を確認する。届いていたのは斎藤さんからのメール。
『バックヤードにおいで』
ギュッと胸が締め付けられた。
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