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甘く、深く、繋がって
第16章 過ぎ去らざる戒め
黙り込んだ私に察しの良い桐生さんが
「ニンジンのポタージュは飲めそうですか?」
そう聞いてくれた。
「はい」
「ではお持ちしましょう」
柔らかな笑みで頷いて、桐生さんが出て行った。

一人残されて、頭に浮かぶのはあの人の後ろ姿。

食事に来たんだよね?

それ以外レストランに来る理由はない。

だって今日、斎藤さんは私と一緒に帰る……帰るんだもの

携帯を取り出してみたけれど、予定変更のメールは届いていない。何より桐生さんがここに案内して何も言わないんだから、変わりはないはず。

啓太の事、もう話されてしまったかな……
斎藤さん仕事中だしまだ、だよね?
でも……時間の問題?

どうしよう
斎藤さんに、嫌われちゃう……

じわりとまた辺りが滲む。
私の身体とは正反対に白いタオル。

このタオルで私の穢れも拭えれば良いのに……

顔を埋めて、深く息を吐いた。
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