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甘く、深く、繋がって
第20章 そばに、いる
涙と鼻水とでぐしゃぐしゃな寝顔。

結局何も言わせてあげられてない……
明日、改めて声を掛けるか

頬を包み、親指でそっと涙を拭う。次いでさっきまでひそめられていた眉間に口付ける。静かにベッドから降りて真純の身体を布団でくるんだ。
蒸しタオルを作りながら、思うのは真純の過去。
早くに両親を亡くし、愛情を実感する事なく恐らくは親戚の家を転々として育ってきた。自己肯定感が育たなくて当然。なのに、人の思いには真っ直ぐ応えようとする。
それは亡くなったご両親が注いだ愛情の所以(ゆえん)。

大切に、したい……

寝室に戻り、泣き濡れた真純の顔をそっと清めた。頬の赤みは落ち着いていた。タオルを片付け、真純の隣に身体を滑らせた。
頭の下に左腕を通し、抱き寄せる。
「ん……」
小さく身動いですり寄ってきた真純。起こしたのかと思ったが、覗き込んだ彼女は目蓋を閉ざしたままで。無防備な寝顔に笑みが浮かぶ。
頭を抱え込み、柔らかい髪に口元を埋めて口付ける。身体を寄せて包み込む、小さな温もり。腕に閉じ込め、膝を割って脚を絡めて……
真純が泣いてくれた事を嬉しく思う。そのままこうして眠ってしまった事も。

あー仕事行きたくねー
俺も明日から休みたい

叶わない事を割と本気で思いつつ。真純の温かさと寝息に誘われて、いつしか一緒に眠りに落ちて行った。
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