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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
千佳が年始特番の収録の後に来るとは聞いていた。その衣装のままなんだろう。年始らしい派手な色彩の、少し変わった羽織と袴。武士の様に髪を結いあげた千佳によく似合ってる。
真っ直ぐ真純の下へきて、壮助さんと親しげに言葉を交わす。
真純を抱き上げる様にして立たせ、ようやく俺と目が合った。
数言交わすうちに俺たちの状況に気づいたらしい。
「壮助さん、拓真なら大丈夫ですよ」
言われたのは桐生さんと同じ、俺を肯定する言葉で。
桐生さんと千佳、二人の真純に対する愛情の深さを思い知る。
二人そろって俺を肯定するのは俺のため、じゃない。真純を大切に思うからこそ、だ。

俺はそうされるに値しているのか?
自分のしてきた事の酷さは自覚している。
両親や環境のせいにして誤魔化せる事じゃない。

「イタリアンだけじゃなく、何でも作れるんだね」
嬉しそうに笑う千佳にキッシュの感想を求める形で真純を頼んだ。強引に連れて行かれる真純の背中を見送る。

そんな俺が真純にふさわしいのかと言われれば、黙るしかない。
でも、俺は……

何を言われても、譲れない。

覚悟を決めてソウスケさんとハルカさんの方へ向き直った。
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