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甘く、深く、繋がって
第7章 失態
黒田さんの方へ行こうとする依頼者さんを引き止めて、対応しながらの設定は思った以上に時間がかかった。屋外の配線を終わらせた黒田さんと二人がかりで作業して、PCを立ち上げての確認が終わったのは既に夜の八時を回っていた。
あんなにしつこかった依頼者さんは五時半になると帰ってしまい、終了の確認は主任を名乗る人とだったりして……

つ、疲れた。

黒田さん達が着いて、社内のネットワークを繋ぐのに専用回線を使うかバーチャル回線を使うかで揉めたんだって。セキュリティがどうだの、コストがどうだの、ゴチャゴチャと……
それを一から説明して、専用回線を使う当初の契約通り作業を始めることになったらしい。道理で進みが遅いと思った。

「一杯飲みたい気分なんだけど」
そう言った黒田さんの言葉に思わず同意。
社用車で帰社して連れて来られたのはまさかの『グラン・ブルー』安易に頷いた事を深く後悔した。

何で?

黒田さんは戸惑う私に構う事なく、ニッと笑って扉を開く。
背中を押されて、一歩、二歩。
「いらっしゃいま、せ」
一瞬言葉を詰まらせて、でもすぐに穏やかな笑みでいつものウェイターさんが迎えてくれた。
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