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甘く、深く、繋がって
第34章 エピローグ
遠くから聞こえる携帯の音。
澄んだ鈴の音の旋律は私の目覚まし。

あぁ、アラーム鳴ってる……

目を閉ざしたまま手探りで枕元を探る。

……あれ?

どんなに探っても見付からない。

と言うか、音が遠い?

不思議に思って目を開いた。
まだ薄暗い室内。身体に絡む温もりに目を瞬いて。
ようやく状況を把握する。

そうだ、昨日拓真さんに……

思い出すと顔が熱くなる。
思わず頬を押さえて、はっと思い出す。

携帯、どこに置いたっけ……

スヌーズ機能のお蔭で今は静かになったけど、五分後にはまた鳴り出してしまう。
昨日最後に携帯を触った時の事を振り返える。

ちらほらと桜が綻び始め、ようやくもらえた拓真さんの連休。初日の今日、あの公園に行く。
渋滞にハマる前に家を出ようと話してて、アラームをセットしたのが最後?
リビングのソファーに座ってた時、だから……


『セット、した?』
琥珀色の多分ウイスキーの入ったグラスをローテーブルに置いて。ソファーに座る私の隣に、何故かこっち向きに座る拓真さん。
『はい。六時で良いですか?』
振り向いたその近さにドキッと心臓が跳ねた。
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