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NEXT 【完結】
第29章 高崎家
「...だからさ。親の為ってワケじゃないけど、ねえちゃん、真面目に考えたほうがいいよ」

「...う...ん」

「俺も、ねえちゃんには不幸になって欲しくないし」

「...」

稜は、黙ってうつむくしかなかった。



地元の駅まで送ってもらい、途中スーパーで買い物を済ませマンションに戻った時には、日はすっかり暮れていた。


今日あった色んな事が頭の中をぐるぐると巡る。

稜は、洗濯をしつつ明日のお弁当を作っていた。
昼にご馳走をお腹一杯食べてお腹がよく、弁当のついでに余ったもので晩御飯をすます。

ぼんやりと考え事をしながらしていると、瞬く間に夜になる。



羚汰の部屋で待つべきか、体調が悪いとでも言って少し考える時間を作るべきか悩んだが、今朝の喜ぶ顔を思い出して行くことに決めた。

用意を済ませ、大荷物と共に移動する。

羚汰の部屋も、洗濯をしたらしく、洗濯機に乾いたシーツや衣服が入っている。
それを取り出して畳む。

やはりいつもの11時過ぎになっても連絡はなかった。

12時になってもラインひとつ入らない。

稜は、本当に布団に入って待つことにした。


頭を無駄に使いすぎて、なんだか軽く頭痛がする。

でも考えずにはいられなかった。



弟の言葉。

全部、正論で、おそらくその通りだ。

自分でもうすうす気づいていて、いつかは終わりが来るだろうと思っていた。

だけど、あんな風に言われたら現実を見るしかない。


6年後、どうしているか2人の姿を浮かべてみようにも、想像が出来ない。

羚汰は医者になっている?

それまで稜はどうしているんだろう。

若い子が入れ替わる今の保険事務所でまだ仕事を続けているのだろうか。

そもそも、36歳、37歳になった自分が想像つかない。

今日のように、毎日こうやって深夜に帰ってくる羚汰を不安な気持ちで待ち続けるのだろうか。


そして、そんな何年もあの羚汰が自分を好きでいてくれるだろうか。

今は毎日、羚汰が求めてくれる。
でも、それに応じられなくなったら?


それに、何年か経てば若い子のほうがいいに決まっている。

前彼が、21歳の子と再婚したように。

いつかは捨てられる―。







稜はいつの間にか、涙を流しながら眠りについていた。
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