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第31章 相談
尚のほうは特に何も言われてなかったらしいが、有希子は成績もよく将来有望と思われていただけに、各方面から別れるように説得された。

高校の担任や副担任ほか有希子の授業を担当する全先生をはじめ、両親、親戚、塾の講師や、生徒会のメンバー、ありとあらゆる人から代わる代わる説教され、かなり参っていた時期があった。


「“皆を納得させるには、それだけの材料が必要。その為にも、しっかり彼氏と向き合って話し合って、傾向と対策を練りなさい”」

「...そんなこと...言った?」

当時、戦国歴史小説にハマっていた時期だ。
読んでいた本にでも即発されてそんなフザケタことを口走ったのだろう。

14年前に行ってぶん殴ってやりたい。

「ほんっと、ごめん!エラそうに、何様だよねー」

「あら。私は救われたのよ?」

その後のことを稜はよく知らなかったが、有希子と尚は話し合って、尚が更生することで皆に認めさせたらしい。


「ま、私の時とは状況がまた違うけどね。尚の成績と違って、彼の歳は変えられないものね」

「...」

「とりあえず、見合いの話をどうしても断れなかったとかなんとか言って、伝えてみたら。稜との将来の事を真剣に考えているなら、何かアクションを起こしてくるでしょ」

「...そうだね」

「それはキッカケでしかないからね?ちゃんと向き合って話、すんだよ?また抱え込まないで」

「わかった」

「クリスマスまでに、どうにか落ち着くといいね」

「うん...ありがと」

やっぱり有希子に相談してよかった。
問題が解決したわけではなかったが、浮き彫りになった。

彼の歳は変えられない。
それを超越出来る何かを見つければいい。

簡単なことではないが、2人で探そう。

その前にまずは、羚汰にその意欲があるかどうかを確認しなければ。

その事を聞くのが一番辛い気がする。
でも逃げてはいられないー。

稜は電話を切って事務所に戻った。
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