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少年悪魔
第11章 伝わる想い
塞がれた唇からは、言葉を発することもできない。
繭の目から涙が零れた。


「……何してんの?」


繭の耳に届いたその声は、頭の中を支配していた恐怖を一掃した。
礼也が唇を離し、不敵に声の主に笑いかける。
「…残念。ここからが楽しいところなのに。空気読んでほしいな、ハル」
「読みたくもないね」
チラシの束を抱えた遥斗が怒りの目を向けるが、礼也は余裕の笑みを浮かべる。
「…本当にお気に入りなんだね。…まあいいや。泣かせちゃったし、帰るよ」
ただね、と礼也が付け加える。
「大事にし過ぎるから、付け込まれたんだよ。それは、解ってるよね?」
そう言って、礼也は廊下に靴音を響かせながら、繭と遥斗のもとを去った。
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