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カウントダウン
第1章 カ
告白されるのに疲れたのか、投げやり気味に
「付き合うの?どうするの?」
と繰り返した。

「つ、付き合います!」

そうして始まった私たちの付き合いは
私の希望で誰にも公表されることなく。
だって、皆の視線が怖いから。

蒼くんの彼女が私で「なんで蒼くんが?」と言われるのが
怖かったから。

そんな私のお願いに蒼くんは私たちの事を秘密にするのに合意した。

私たちが校内で一緒にいる事はほとんどなくて。
ただ、1日数通のメール交換をするだけ。

学校帰りも部活をやる蒼くんとは帰り時間も合わなかった。

こんなの、クラスの男友達の方が親密だわ。

そんな風に思った自分が
一体、蒼くんにとってなんなのか。
分からなくなっていたある日。

「蒼くん。誰とも付き合わないでね。みんなの蒼くんでいてね」

なんて取り巻きの一人が蒼くんの腕に身体を絡ませて言っているのを
階段を降りながら聞こえた。

「付き合わないよ。好きな子なんかいないから」

そう答えた蒼くんの声は
「だよね!良かった」
とはしゃぐ取り巻きの声にかき消され
私の胸に突き刺さった。

私の事を好きじゃない事ぐらい、分かってたよ。
付き合う?って聞いた時、あんなに無表情だったもん。

でも、少しでも私の存在を感じてほしかったよ。

16歳の私は胸に突き刺さった矢を引きぬく事が出来ないままに
蒼くんにお別れのメールを送った。
着信拒否したメアドは、いまだに消去のボタンは押す事が出来ない。

そう。あれから5年たった今でも―――
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