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カウントダウン
第6章 ウ 
「里香。俺の家に行く?」

そう誘う蒼くんの言葉に
自分の心がブレーキをかける。
段々私、蒼くんに本気になってる。

5年前どうにもできなかった思いが
心の中でよみがえってる。
キケンだよ。

心とともに身体も蒼くんから離れられなくなっちゃう。

「今日は、やめておく」
「・・・・ん」

外は雨が降り出した。
そろそろ本格的に梅雨に突入する。

私たちのこの関係は
一体いつまで続くのか。
蒼くんの中に残されたカウントは
後いくつ残されているのか。

それが知りたいようで、知りたくなかった。

「もう梅雨だな」
「うん」
「相合傘でもしようか」

エッチを断った気まずさを、感じさせないように
手に持った傘を持ち上げてにやりとする。

「それもカウント?」

「そう。高校生なら雨のたびに期待したはずだ」
「大学生なら?」
「肩が濡れるな、って思う」
「何それ!」

おどけて言う蒼くんの言葉に
大笑いしながら、1つ1つ消化していくカウントに
振り回されている自分に気がついた。

怖いのは、あんなふうに言い寄って来る女の子じゃない。
カウントが全て終わる事なんだ。

コーヒーショップを出て
肩を抱かれて相合傘をしながら駅までの道のりを速足で歩く。

また1つカウントが終わった。
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