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監禁DAYS
第3章 今だけ傍にいて

 自分の病気に気づいたのは卒業してすぐだった。
 毎日セックスだけでなくオナニーにまで耽っていた自分を試してみようと一日禁欲をしてみたのだ。
 十二時間を回ってから全身に鳥肌が立ち、がたがたと震えだした。
 本当にヤクでも決めてるんじゃないかってくらいの悪寒と危機感に一人で怯えたっけ。
 結局必死に携帯の着信履歴から男を呼び出して玄関で激しく繋がったんだ。
 かりかり。
 爪で木目を掻いてみる。
 意味もなく。
 早くイかないと死にそうな気がして。
 ひたすらに腰を上下して。
 男の上で跳ねて。
 はしたなく。
 あれから愛玩具が手放せなくなった。
 どうして後天的にこんなことになっているのか。
 検索してもわからない病。
 それからすぐに相手にも異常を来すことに気付いた。
 朝、コーヒーを淹れて顔をしかめて、臭いがしないって。
 その時は気にも留めずにもう一度ハメてもらったのよね。
 昼ごろに、男が音が聞こえないって喚きだした。
 馬鹿みたいに。
 でも、どうにも本気が滲んでいたから、他の男とも何度も試してみた。
 ふざけた能力だなって。
 狂ったみたいに笑ったっけ。
 だってそうでしょう。
 ヤった相手から五感を奪うなんて。
 神様もなんでそんなことを見たがったの。
 わかるわけがない。
 視覚がなくなった男は、何故か自分だけは見えるみたいで、世界が終ったと叫んでいたっけ。
 美香。
 貴方には絶対に体感することのない狂気の世界よね。
 だから……
―どうして―
 貴方にも分けたかったから。
―やめて。美月―
 バランスなんて崩したかったから。
―お願い―
 自分だけなんて不平等だから。
―美月。やめて―
 やめない。
 味わって。
 そう悪くもないはずよ。
 ねえ。
 完璧な五感を破壊して。
 そこから何が見える?
 前に美香が尋ねた質問で心までねぶってあげる。
 美香。
―ごめんね―
 謝らないで。
 どこに行くの。
 美香。
 どこにも行かないで。
 目の前で快感に溺れてよ。
 同じ世界で生きて見せてよ。
 どうして行ってしまったの。
―お前が代わりに!―
 あの男の醜い怒声が聞こえる。
―なんで美香が―
 ええ。
 貴方以上に思ってるわよ。
 そんなこと。
 馬鹿ね。
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