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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第8章 ☆♯05 SceneⅤ(AnniverSarY~記念日~)☆
 美月が無造作に台の上にカゴを乗せると、少年がカゴの中から一つ一つ商品を取り、スキャナでバーコードを読み始める。安物の口紅、ガーゼのハンカチ、菓子パン、野菜ジュースと次々に値段をレジに打ち込んでゆく。
 美月は少年の手際の良い動きをぼんやりと眺めながら、他のものはともかく、口紅だけは必要のないものだったと独りごちた。
 その時、〝先生〟と愕いたような声が上がり、美月はハッと我に戻った。レジの向こうにいる少年が眼を見開いて美月を見つめている。
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