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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第4章 02 SceneⅡ(ジューン・ブライド)
七月もそろそろ終わりに近づいたある日のことだった。その日、美月は午前中は試験問題を解くことで費やし、午後は昨日、出版社から届いたばかりの新しい作品の翻訳をして過ごした。
美月は既に〝速見三月(みつき)〟というペンネームで何冊か翻訳を手がけた本を出している。いうなれば、翻訳作家の端くれともいえるのだけれど、自分でそんな風に言うのもおこがましい気がして、親友であった実由里にさえ話したことはない。
美月は既に〝速見三月(みつき)〟というペンネームで何冊か翻訳を手がけた本を出している。いうなれば、翻訳作家の端くれともいえるのだけれど、自分でそんな風に言うのもおこがましい気がして、親友であった実由里にさえ話したことはない。