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ギルディ~S系エリートと鳥籠の令嬢~
第16章 恥かしいおねだり―杏side-
「杏お前はここで待ってろ。俺が社長と話を付けて一緒に早退するから・・・」
「早退!?」

「お前…立てないんだろ?」
「うん」

「いいから…ここに居ろっ。分かったな」
「人が来たらどう対処すればいいですか?」
「人なんて来ないよ。ここは社内でも忘れ去られた場所だから・・・」
「そうなんだ・・・」
「ほら」
彼は私に上着を渡す。
「5月とは言え・・・ここは冷える。俺の上着でも着とけ」
「ありがとうございます」
彼の時折見せる優しさも昔と変わっていなかった。
「一回で腰を抜かすなんて…俺の相手は務まらないぞ。もう少し足腰鍛えとけよ」
「はい・・・」
私は彼の命令に従順に頷く。

帝さんは不敵な笑みを湛え、踵を返して出入り口に向かった。
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