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理想と偽装の向こう側
第3章 初めての夜
「分からないから聞いてるのに…」


口を尖らして、不服さをアピールしてみた。


小田切さんは、つかさず片手に焼酎、もう片手は私のアヒル口を掴み


「目の届く所に居て欲しいから…」


わっっ!!
それは、ちょいとキザですよ!!


瞬間、私の顔は酔い以上に赤くなったハズ。


「常に傷の舐め合いしやすいでしょ?」


わっわっわ!!!

反則、反則っ!!

良く分からないけど、反則!!


あぁ…。



ストレートに胸を貫いてくる…。



こんな、あり得ない展開だけど、この人が今私を必要としてくれてて、この人も私が誰かに必要と思われたいこと、分かってるんだ…。


分かっていて、一つ一つが確実に狙い撃ちしてくるのが、反則に感じてならない。


「ぶるい~!」


「はははっ!なんて言ったの?」


小田切さんが手を離したので、やっと口が開けた。


「小田切さん、ズルいです!」


「ん?口を塞いだから?」


「違いますよ!分かってるくせに!私が欲しい言葉、分かってて直球でガシガシ投げ込んでくるでしょ!」



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