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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
マンションに着いたが、入り口がオートロックだから入れない。


部屋番号を押してインターフォンを鳴らすが、無反応だった。


外に回り部屋辺りを見てみるが、居るか居ないか分からない。


「なにやってんだろ…私…」


二年間の片想いの時は連絡先だって知らなかったのに、それでも凄い楽しくて幸せだった。


それにまだ、『好き』の言葉は聞いてない。


今回みたいなこと…この先も、何度もあるかも知れない。


原因が分かれば納得出来るが…
ただの気分次第だったら、私は心も身体も嘉之のご機嫌取り続けるだけになるのかも…。


言い知れぬ不安が支配して、立ってるだけで辛くなる。


「帰ろ…」


私は、家路に向かった。

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