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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
二次会まで流れ込む雰囲気は元々なかったので、この料亭でお開きになった。


別れ際に梶さんが、声をかけてきてくれた。 

「まあ…クセはありそうな子だとは、思ったけどね。アーティストにあながち多いから、渡辺さんも余り無理のない様に、彼を支えてあげていくといいよ」 


「はい…ありがとうございました。」


「僕で良かったら気軽に相談して」


「その言葉だけで心を強いです」


「はは!一人で抱えちゃいけないよ」


優し笑顔を梶さんは、くれた。


私は頭を下げて、嘉之の家に向かう。


駅に着くと、一足先に駅に嘉之は着いていた。


「お待たせ!」


改札を出て駆け寄ると、嘉之は無言で私の手を掴んで歩き出す。


あの数時間で、何が起きたんだろう…。


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