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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
「あれ?渡辺さん、まだ具合悪いんですか?」


「あっ!ううん、クシャミ出そうだったの…」


何とか誤魔化したが、追撃が始まった。


「なら、良かったです~あ~あ、どうやって誘うかな。…あっ!渡辺さん、ダブルデートしませんか!」


「はい?」


誰と誰がでしょうか?


「渡辺さんと、トランスの人と~私と須永さん!きゃはっ!一石二鳥ですよぅ~!」


元木さんはそう言って一人盛り上がるが、私のお得感が一切ないよね…。


「聞いてみるので、その時はお互い頑張りましょう!」


「いや…だから私は…」


「お待たせしました」


ガチャリとドアが開き絶妙なタイミングで梶さんが、ミーティングルームに現れた。


流石、梶様だ!


「すみません、前の案件が延びてしまいお待たせしました」


「こちらこそ、お忙しいところお時間頂きまして有り難うございます」


「お願いします~」


梶さんは、優しい笑顔で


「では、始めましょうか」


打ち合わせが開始された。

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