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理想と偽装の向こう側
第5章 トラウマ
日曜日


小田切さんと、ホームセンターに行くことになった。


市内でも結構離れているし、何を買い込むかも分から車で向かと言う。


小田切さん、何が欲しいんだろう。


「何を買うか決まってるんですか?」


「うん、俺のじゃないけどね」


と…言うことは…


「誰のですか…?」


「香織んのだよ」


こうゆう解答は、ストレートなんだ!


「雑貨とか、シーツとか自分の趣味で選んだ方がいいでしょ」


「まぁ…でも今の状態も殆ど揃ってるので、さして支障ないかも…」


「それならいいけど、とりあえず見てたら何か面白いもの発見できるかもよ」


「そうですよね…居酒屋グッズとかシェーカーとかありそうですよね…」


「居酒屋グッズね~いいね~シェーカーはあるけどね」


あるんだっ!!


「なんかこのまま小田切さんと、飲んだくれ人生ですかね…」


「ははっ!香織んとだったらそれも楽しいかもね!」


こ奴っ!
また、天然でサラリと言ってのけたな!


「香織ん、何で今の仕事選んだの?」 


見事な交差点の右折ぷりを見せながら、話題を切り替えてきた。


「はぁ…う~ん、久々に問われると結構考えちゃいますね」


「へぇ~何で?」


「私、元々絵描きになりたかったんですよね」


小田切さんは、黙ってハンドルをきっている。
その姿に話を聞いてくれてるんだろうと確信して、言葉を続ける。


「独学でしたけど結構誉められてたんです。短大時代にインテリアとか少しカジッてみたりもして、本格的に絵描きだけじゃ厳しい現実だったんで、日常に絵がある生活を作れないかなって…思って…たと思います…」


「思ってた…今は?」


『今は…』
そこ、さり気なくツッコンでくるか…。

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