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理想と偽装の向こう側
第22章 約束
「『セックスもキスもしない』この約束に後悔した時もあったけど…やっぱり言っておいて良かったよ」


「なんで…」


この協定が、無ければいいって何度思ったか!


「何で?香織…流されやすいんだもん!」


「えっ!私がいけないの?」


小田切さんは、ニヤリと笑い


「じゃなかったら…お互いの気持ちを曖昧にして身体だけの関係が出来上がってたと思うよ」


「うっ!そうかも」


眉間を寄せる私の額に、小田切さんはキスをした。


「わっ!」


「はは!それでも…抱けるなら繋がれるなら、いいかなって…そこからも始められるんじゃないかって…言い訳したりして」


次は、目元にキス。


「あ…」


小田切さんの内心が知ららされていく事に、ドキドキが止まらない。


「何度も甘い誘惑に、はまりそうになったのを堪えてたんだよね」


今度は、頬に唇が触れる。


「光花の話をした後は自分も不安定だったから、自制心を利かすだけで大変でさ~」


あっ…だから、よそよそしかったの!


小田切さんは私の頬に手を添え、眼を細めジッと見詰めてくる。


「志信…?」

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