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第10章 完全復活

タクシーはダメだ。千尋は、そう思った。
どうせなら、雑踏の中に入ってしまうほうがいいだろう。

確かに、密閉された空間で、見知らぬ男の車に居るのは苦痛だ。

雄二を足に使うのは、千尋にとっては気が咎める。

店へ行く手段に悩みはしたが、行かない気持ちは不思議となかった。


……………………………


『いらっしゃ…千尋？どうやって来たんだ！大丈夫か？』

『えへへ。大丈夫って何が？えへん！一人で来れましたぁ（笑）』

『ねぇねぇ、あたし、大丈夫だったよ！一人で外を歩いても、電車も、ドキドキしなかった！！』

『そうか！良かったな！でも、まだ、そういうのやめてくれ。』

『うん…そうだね。わかった。ごめんなさい、マスター。』


圭一と千尋が同棲してること、結婚の約束をしてること、雄二しか知らないのだ。