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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に




 ここ、アッシュブラン邸の使用人は皆優秀で、邸の広さからいえば人手が足りているとは言い難いものの、まるでそれを感じさせないほど管理は行き届いている。


 それはひとえに主人であるレオの采配によるものだ。使用人それぞれの能力に見合った役割を与え、存分に力を発揮させているからだろう。


 だがもう一人、忘れてはならないのは、陰で支えるジョシュアの存在だ。


 彼は邸の隅々まで把握し、どこかに問題を見付ければ即座に指示を出し、解決をする。ジョシュアの働きがなくては、こうまで管理が行き届いてはいなかっただろうことは、誰もが認めている。


 しかしそのジョシュアは今や公爵の地位を得て、いずれ完全に執事の任を解かれ、この邸を去ることになる。


 ジョシュアの跡を継ぐのは誰になるのか──使用人たちの関心はそこに集まっていた。


 ジョシュア自身もまた、誰に後継を譲るのか念頭を離れずにいたのだが、ついにレオから後継の教育の話を切り出されることとなった。


「次の執事候補だが──ディランにしようと考えている」


 レオの執務室に呼ばれ、執務机の向こうで神妙な顔付きをしている彼を、ジョシュアは僅かに驚いた顔で見詰めていた。






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