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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に




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 ジョシュアがディランと手分けをして邸内の敷地を点検していると、木陰に人影が見えた。


「──サボリですか、キッシュ」


「うわぁ!」


 木に凭れかかり、本を読んでいたらしいキッシュは、ジョシュアの声に驚いて、持っていた本が手の中で踊る。


「お、驚かさないでくださいよ! それとサボってたわけじゃないです。ちゃんと仕事は終えてますよ!」


 驚かせるつもりはなかったのだが、足音を立てずに歩くのは最早癖のようなもので、敷き詰められる芝生がより足音を消してしまっていたようだ。


「あれ? ディランさんは一緒じゃないんですか」


 ジョシュアを恨みがましく見上げていたキッシュは、不意に辺りを見渡す。ここ最近常にディランと共にいるのが当たり前になっており、彼を伴っていないのが逆に不自然なのだろう。


「ええ、まぁ。彼には邸の中を点検してもらってます」


「ふーん。もしかして体〈テイ〉よく追っ払ったんですか? ディランさん、ずっと雛鳥みないにジョシュアさんの後付いて追いかけまわしてましたもんねー」


 ニヤリと笑ったキッシュを一瞥すると、彼は肩を竦めて本で目許まで顔を隠した。






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