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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に




 胡散臭さを感じる優しいレオに、キッシュはなにか察したのか後ずさる。


「い、いえ……こだわってますよ? すごーくこだわってます! わー、僕庭師のお仕事だぁい好き!」


 一歩、また一歩と下がるキッシュ。レオからの目配せを受け、ジョシュアはキッシュの背後から肩を掴んで逃げ道を阻む。


「キッシュ。観念しなさい」


「ジョシュアさん!」


「言い出したら聞かないのはあなたもよく知っているでしょう」


「い、嫌です! だって……ディランさんは!?」


 必死でキッシュがもがくが、力で押さえ込む。


「察しがいいな。やはり執事はそのくらい察しが良くないと。なぁ、ジョシュア?」


「ええ、そうですね」


「嫌だ……嫌ですって! 僕察し良くないですし、頭だって良くないですよ! 無理無理無理! ぜーったい無理!!」


「そんなことないぞ、キッシュ。ここに来て5年余りで3ヵ国も話せるようになったし、読み書きはそれ以上だよな? 充分優秀だ。あとはそう……ジョシュアに厳しく躾けてもらうだけだ」


「やだやだ! 僕……」


「というわけで、なるべく短期間でキッシュを一人前にしてやってくれ。頼むぞ、ジョシュア」


「お任せください。キッシュは教育のし甲斐がありそうですし。では早速取りかかりましょうか、キッシュ」


「い……いやだぁぁぁぁぁぁ!」


 キッシュの悲痛な叫びが邸中に轟いた。





 どうやらまだ暫くはこの任を離れられそうにない。だが最後の仕事は必ずやり通さねば、と抵抗する若き次代を担う者を見下ろし、ジョシュアは眼を細めたのだった。




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