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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱



 抱き合うレオとアリエッタへと近付いてくる母の影。彼女はアリエッタに見えてないのをいいことに、あからさまに膨れっ面をしている。


「案外早かったのね」


 母に驚いた様子は見受けられない。おそらく母はレオの訪問を聞かされていたのだろう。そしてアリエッタには黙っていた。


 レオは一瞬でそう察し。だがアリエッタの前で母を諌めるには少々気が引ける。


 ──しかしだ。母の望み──つまりはアリエッタを娘にし、可愛がるのを見守るには充分な時間を与え、待たせた罪滅ぼしも充分にした。


 これ以上彼女の自由にさせていたら、ますます増長しかねない。でないとアリエッタとの新婚生活を送れないではないか、とレオは母とアリエッタの争奪戦を心に決める。


「母上──」


「だめよ。アリエッタはこれから私とジャム作りをするんだから。ね、アリエッタ?」


 先手を打つ母。彼女は一筋縄でいかない。


「えっと……、はい。ごめんなさい、レオ。帰るのはもう少し待ってもらえる?」


 しかもアリエッタが約束を反故しないとも解っての言動だ。厄介過ぎる。






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