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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱



 “そちら”の可能性は捨てきれなかった。本音では捨てたかった。


 祖父母を想ってのことだけなら願いは叶い、母の暴挙はおさまるだろうが。この様子だとまだまだ満足はしてないだろう。


 捨てきれなかったからこそ、次の手は考えていた。ヒントは祖父母だ。


「……そうですか。それは残念です」


 思わせ振りに、やれやれと首を振る。


「なにが?」


「ああいえ、こちらの話です」


「気になるわ。なに?」


 食い付いた、とほくそ笑みそうになるのを我慢し、物憂げな表情で話す。


「母上がアリエッタを眼にかけてくださるのはとても感謝しているのですが……今のままでは……」


「不満ってこと?」


「いえ、そうではなく……。母上をもっと喜ばせてあげられるのが先になりそうなので」


「え? なに? 勿体ぶらないで話してちょうだい」


 焦れて急かす母にちらりと視線を向ける。


「ですから……孫の顔をお見せするのが遅くなって残念でならないのですよ」


 わざとらしく哀しそうにレオは言った。





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