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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔



「もう我慢ならん! こんなやり方は間違っている! 領主様にみんなで抗議してくる!」


「あなた、落ち着いて! 領主様の反感を買いでもしたら、もっと酷いことになるかもしれないんですよ」


 ある日の夜。キッシュが寝入った頃を見計らい、両親が言い合いをし出した。この頃になると食べる物もやっとな状態で、空腹で眠れないキッシュは部屋の簡素な寝台で寝転んでいると、言い合いが聴こえてきたのだ。


「だからといってこのままでは我々は皆死ぬのを待つだけだ。作物は作っても作っても、取り上げられる。日に日に皆の体力は衰え、その作物すら作れない有り様だ」


「でしたら国に訴えましょうよ。王さまの耳に届けば、きっとなんとかしてくださるわ」


「とっくにやったさ。けどな。その訴状を届ける者も領主様が買収でもしてるのか、それともこんな片田舎は見捨てられてるのか、一向に動いてくださる気配がないんだ。もう直訴するしかない」


 村は追い詰められ、生き延びるにはそうする他ない、と父は母に言い聞かせていた。


 母の啜り泣く声が耳に張り付き、力のない子供だったキッシュは寝台で膝を抱えて不安で震えるしかなかった。






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