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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔



 広場に集まる村人は一様に虚ろな顔をしている。領主がまた無理難題を言い付けてくるのか、それとも滞っている税を徴収しにでも来たのかと不安も入り交じり。


 それを払えるはずもなく、一斉に処罰でもされるのではと怯えもし。


 だが広場にある木の台に上った人物にキッシュは驚いた。


 身なりこそ立派であるが、見紛うことなくレオだったのだ。


「私はラインハルトの王太子、レオナルド・アッシュブランだ」


 そう切り出され、さらに驚いた。


 彼が……レオが王太子? 旅人でなく?


 ざわり、ざわりと村人に動揺が広がるなか、キッシュは眼を見開いてレオを眺める。


「まずは国の代表として、この村を救うのが遅くなったことを謝罪したい」


 王太子が片田舎の村人に頭を下げるなど、前代未聞。


 けれど動揺が今度は怒りに変わる。


「謝罪されたって、失ったものは戻ってこない!」


「俺たちの人生だって返ってこないじゃないか!」


 レオはその罵声を真っ直ぐ受け止め、だが視線だけで黙らせる。


 彼の放つ気迫に人々は口を閉ざし、静かになったところで続けた。


「その通りだ。人も人生も返せない。だが新しい生き方を与えることはできる!」







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